うさぎの主な病気
スナッフル(鼻炎)
症状
主にパスツレラ菌に感染することで発症します。「くしゃみを繰り返す」「鼻水が出る」「前足で鼻をこすって、鼻先や前足が汚れて毛がごわつく」「呼吸音がおかしい」などの症状が現れます。パスツレラ菌は鼻水などから簡単にうつるので、複数飼育している場合には注意が必要です。
予防
放っておくと重症となる場合がありますので、すぐに動物病院で診療を受けるようにしてください。ストレスや室温の変化など発症に至る原因を考え、くしゃみなどの症状がどんな時に起きているのかを把握した後、抗生物質で治療します。
不正咬合
症状
げっ歯類の歯は一生伸び続けます。そのため、特に前歯(切歯)が伸びすぎて噛み合わせが悪くなると、歯が正常にすり減らなくなり、「よだれが出る」「よだれを拭いた前足の内側の毛が固まる」「歯ぎしりをして上手くエサが食べられなくなる」などの症状が現れるほか、伸びた歯が歯茎や口腔内を傷つけて痛みをともなうため、食欲が減退することもあります。
予防
歯を適切にすり減らすために、日頃から繊維質の多い牧草を主食として与えるようにしましょう。発症した場合には、専用器具で歯をカットしたりトリミングしたりします。
尿結石
症状
腎臓、尿管、膀胱、尿道などの尿路に結石ができると、「尿の回数が増える」「尿の出が悪くなる」「血尿が出る」「尿から変なニオイがする」などの症状が現れます。重度の場合には、痛みのために体を丸めてうずくまったりすることもあります。
予防
結石ができる原因として水分不足やカルシウムの摂り過ぎなどが挙げられますので、いつでも水が飲める状態にしておくとともに、カルシウム量の少ないイネ科のチモシーなどをメインに与えるようにしてください。
腎不全
症状
腎不全には急性と慢性の2種類があり、急性は、熱中症や尿管にできた結石などが原因で発症します。慢性は、細菌感染、タンパク質やカルシウムなどの過剰摂取などが原因で発症します。腎不全になると、「水をよく飲む」「尿の量が増える」「血尿」「下痢」「食欲不振」「元気消失」「体重減少」などの症状がみられるようになります。
予防
初期には症状が現れにくいため、定期的に健康診断を受けて、早期発見・早期治療に努めるようにしてください。また、カルシウムを過剰に摂取させないために、カルシウム量の少ないイネ科のチモシーなどをメインに与えるようにしてください。
腸炎
症状
体重の減少、下痢などの症状が現れます。環境の変化、例えば、高温多湿などによるストレス、腫瘍、寄生虫、細菌感染などが原因として考えられます。動物病院で適切な検査を受けるほか、食物繊維の多いエサを与えることが大切です。
予防
腸炎などの消化器系の病気は、衛生的な飼育環境を整えることで防止することが可能です。できるだけストレスを与えないようにし、適度な食物繊維を食べさせて予防するようにしてください。また、毎日の糞の状態を観察して、早期発見に努めることも重要です。
腸性中毒
症状
うさぎの腸内に通常存在している菌が異常増殖することで、毒素を発生し、「水様性の下痢」などの症状を引き起こす病気です。離乳期から8週までの子うさぎによくみられ、水様性の下痢以外にも、「食欲不振」「元気消失」「歯ぎしり」「腹痛のためにうずくまる」などの症状が現れます。症状は急性で、数時間から3日以内に起こり、最悪の場合、命を落とす可能性もあります。
予防
パン、スナック菓子、果物などを大量に食べているうさぎによくみられることから、予防のためには毎日の食事管理が重要となります。発症後は主に抗生物質や輸液、栄養剤などによる治療を行いますが、完治させることは難しく、死亡率の高い病気です。
脂肪肝
症状
「元気がない」「食欲不振」「体重の減少」「上腹部の張り」などの症状がみられる場合には、脂肪肝にかかっている可能性があります。うさぎの肝臓は、不正咬合やストレスなどにより、1日食事が食べられなくなるだけでも脂肪肝になってしまう場合があり、悪化すると命を落とす可能性もあります。
予防
栄養バランスのとれたエサを与えて、予防に努めるようにしましょう。脂肪分や炭水化物の多いエサは避けるようにしてください。特にドライフルーツは糖分が多いため、脂肪肝を引き起こしやすいので与え過ぎには注意してください。
肥満
症状
ペットとして飼われているうさぎは、どうしても運動不足になりがちなため、太りやすい傾向にあります。肥満は心臓病や糖尿病などの病気の原因となるだけでなく、体重の増加により足に負担がかかるため、ソアホック(足裏の皮膚炎)の原因ともなります。
予防
適度な運動や、栄養バランスのとれたエサを与えることで、肥満を予防するようにしてください。定期的に体重を測り、「太ってきたな」と思った時には、エサの量を調節し、チモシーなどの牧草を多めに与えるようにしましょう。一度太ってしまうと、元の体重に戻すのは難しいので注意してください。
腫瘍
症状
うさぎの場合、特に「子宮腺がん」や「乳腺がん」に注意する必要があります。中でも乳腺がんは最も好発する腫瘍で、3歳以上のうさぎのよくみられ、遺伝も関与するとされています。子宮腺がんの場合、主に「食欲不振」「膣からの出血」「元気消失」などの症状が現れ、乳腺がんの場合、主に「乳腺にしこりができる」「発熱」などの症状が現れ、悪化すると乳腺のしこりが裂けて出血することもあります。
予防
腫瘍は早期発見・早期治療が重要となります。皮膚腫瘍のような目に見える腫瘍であれば、毎日のケアやスキンシップなどで早期に発見することも可能ですが、内臓などの腫瘍は目に見えないため、食欲、元気、体重の減少、呼吸の状態などに異常がないか、常日頃観察することが大切です。少しでも異常に気づいた時には、すぐに動物病院に相談するようにしてください。
毛球症
症状
うさぎは飲み込んだものを吐き出すことができないため、毛づくろいや換毛の際に胃の中に毛が溜まり、これが原因となって毛球症が起こります。軽度の場合、胃腸の働きを整える薬の投与で治療が可能ですが、重度の場合、切開手術で溜まった毛を取り除く必要があります。
予防
食物繊維の多い小松菜、たんぽぽ、オオバコなどをエサとして与えることで、毛球症を予防することが可能です。また、長毛種は短毛種よりも毛球症を発症しやすいので、毎日ブラッシングして予防に努めましょう。
また、スーパーやフルーツショップで売られている葉のついたパイナップル(缶詰やジュースはだめ)から自家製の生ジュースを作り、1日あたり5mlを目安に与えると胃の中の毛玉が蛋白分解酵素キモパパインにより溶けるのでおすすめです。
ソアホック(足裏の皮膚炎)
症状
うさぎの足の裏には肉球がなく、毛で覆われています。何らかの要因によりこの毛が抜けると、足の裏の皮膚を保護することができなくなり、ソアホック(足裏の皮膚炎)を引き起こす場合があります。初期には脱毛や湿疹などがみられる程度ですが、症状が進行すると炎症を起こし、膿や痛みで足を引きずるようになります。
予防
ケージ内にワラや牧草を厚めに敷き、小まめに清掃して飼育環境を清潔な状態に保ちます。そのほか、床が湿っている状態で歩かせないようにしたり、肥満状態にあるとソアックを起こしやすいので、適度に運動をさせて太らせ過ぎないようしたりすることも大切です。
ツメダニ症
症状
ツメダニが寄生すると、頻繁にかゆがる仕草をみせるようになり、次第に白いフケが発生します。症状が進行すると毛が薄くなり、かさぶたができるようになります。ストレスや病気などで免疫力が低下したうさぎや、子うさぎや高齢のうさぎなどに寄生しやすく、人間にも寄生することがあります。
予防
ツメダニは宿主との接触で感染するため、症状がみられる他のうさぎとの接触は避けるようにしてください。また、ツメダニは宿主から離れても長期間生息するので、ケージ内などを小まめに掃除して清潔な環境を整えるようにしましょう。
脱臼・骨折
症状
骨折の多くは、抱っこしようとして誤って落としてしまったり、足元にいたうさぎに気づかずに踏んでしまったりするなど、飼い主様の不注意から起こります。そのほか、ケージの金網に足を引っかけて、脱臼・骨折してしまうこともあります。脱臼・骨折などの足の病気が原因で命に関わる場合もありますので、注意が必要です。
予防
うさぎと接する時には、「抱っこしたまま立ち上がらない」「嫌がるうさぎを無理に抱っこしない」など、注意してください。また、爪が引っかかりやすいものは身近に置かないようにしましょう。大きな音を出して驚かせないようにすることも大切です。万が一、脱臼・骨折した場合には、すぐに動物病院で治療を受けさせてあげるようにしてください。
うさぎのQ&A
ニオイはありますか?
うさぎは汗をかかないので体臭がほとんどなく、排泄物も正しい食生活と清潔な環境であれば、ニオイは気になりません。トイレのニオイも毎日交換すれば大丈夫です。
おやつは何をあげればいいですか?
うさぎは牧草、ペレット、水があれば十分なので、本来おやつは必要ありません。ただし、コミュニケーションをはかる時、しつけの時、食欲が落ちた時などに必要となる場合もあるかと思いますので、そういう時には野菜や果物などを与えてあげてください。ただし、糖分の多いドライフルーツは肥満や虫歯の原因となる場合がありますので、与え過ぎには注意してください。
暑さや寒さの対策はどうすればいいですか?
エアコンを使って温度調節します。ただし、温風や冷風が直接うさぎに当たらないようにしてください。28℃以上になると熱中症の恐れがあり、4℃以下になると体調を崩してしまいます。うさぎは特に暑さに弱いので、夏は25℃、冬は20℃を目安に調節するようにしてください。あと、湿度管理も重要で、50~60%を保つよう心がけてください。
どのようなケージを用意すればいいですか?
十分な高さと広さがあり、柔らかくて足元に負担がかからないものを用意してください。ケージの底の目は足が入り込まないように細かいものにして、指先の骨折などを防ぐようにしましょう。また、トイレは糞尿が毛につかないように、排泄物が下に落ちるタイプのものを選びましょう。
うさぎと外出することはできますか?
うさぎは犬のように毎日散歩をする必要はなく、基本的に部屋から外へ出す必要もありません。しかし、コミュニケーションのために、ケージから出して遊ばせても問題はありません。その際には、うさぎから目を離さないようにしてください。
犬や猫など、他のペットと一緒に飼うことはできますか?
草食動物と肉食動物は一緒に飼わないのが基本です。犬はしつけされていれば大丈夫です。猫は相性次第ですが、あまり近寄らせないようにしてください。フェレットは野生環境では野うさぎを襲う天敵なので、一緒に飼うことはできません。